クラウド環境でのフォレンジック調査対応方法について解説

「クラウド上でのアクセス履歴が突然消えていた」「誰も操作していないのに、共有ファイルが改ざんされていた」そんな不可解な現象に直面したとき、企業にとって真っ先に求められるのが正確な原因特定と証拠保全です。

クラウド環境でのフォレンジック調査とは、クラウドサービス上で発生したインシデントの痕跡を調査し、アクセスログや操作履歴などのデータから証拠を収集・解析する技術です。オンプレミスと異なり、クラウド環境では保全・調査の手順が大きく異なり、専門的な知識が求められます。

本記事では、クラウド環境におけるフォレンジック調査の具体的な進め方や、保全・分析・報告までの対応ステップを分かりやすく解説します。不正アクセスや内部不正が疑われる場面で、どう対応すべきか迷った際に役立つ実践的な手順を紹介します。

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クラウド環境でのフォレンジック調査が必要となる原因

クラウドサービスの普及に伴い、企業が被害を受けるインシデントも多様化しています。以下に、クラウド環境でフォレンジック調査が必要になる代表的な原因を紹介します。

  1. 外部からの不正アクセス
  2. 内部関係者による情報持ち出し
  3. クラウド構成ミスによるデータ漏洩

原因①:外部からの不正アクセス

VPNの脆弱性や多要素認証の不備などを突いた外部からのアクセスにより、クラウドアカウントが侵害されるケースです。APIキーの流出や不正な認証情報の使用が発端となることが多く、ログ解析による侵入経路の特定が求められます。

原因②:内部関係者による情報持ち出し

退職者や一部の従業員が正規の権限を利用し、クラウド上からファイルや顧客データを持ち出すケースです。特に共有ストレージやSaaSアプリの操作履歴が重要な証拠となります。

原因③:クラウド構成ミスによるデータ漏洩

S3バケットのパブリック設定やセキュリティグループの開放設定など、構成ミスによるデータの外部公開も調査対象となります。設定変更ログやアクセスログの分析が必要です。

こうした原因を放置すると、以下のような深刻な結果につながるおそれがあります。

  • 2次被害の発生やデータ改ざんによる損害拡大
  • 法的責任の追及、損害賠償請求
  • 顧客・取引先からの信用失墜と取引停止

こうした構成ミスは、意図しない情報漏洩を引き起こすだけでなく、「いつ・誰が・どこからアクセスしたか」を把握しづらくするという点でも、フォレンジック上の大きな障壁となります。特に、外部からの悪意あるアクセスに気づかず長期間放置されてしまうケースでは、被害の全容把握が極めて困難になることもあります。

クラウド環境特有のログ形式やアクセス権の複雑さをふまえると、専門知識を持つフォレンジック調査会社に相談するのが確実な第一歩です。早期対応が、被害の最小化と信頼の維持につながります。

クラウド環境でのフォレンジック調査における具体的な対処法

下記では、クラウド環境でのフォレンジック調査において必須となる対応手順を、順を追って解説します。各ステップに応じた詳細な実施手順も記載します。

  1. インシデントの発生状況を迅速に把握する
  2. 証拠データを確実に保全する
  3. 調査専用の解析環境を構築する
  4. ログ・操作履歴を精査し不正の有無を確認する
  5. 専門会社に相談し、調査・報告を依頼する

①インシデントの発生状況を迅速に把握する

まずは、クラウド上で発生した異常の有無や被害範囲を素早く特定します。利用中のクラウドサービスに応じたログ情報や通知を確認し、初動対応に備えます。

インシデント把握の初期対応手順

  1. クラウドサービスの管理コンソールにログインし、アラート通知やイベントログを確認する
  2. 直近の変更履歴、アクセス履歴を抽出し、怪しい操作やIPを特定
  3. システム管理者・セキュリティ担当者に状況を共有し、緊急対応体制を整える

②証拠データを確実に保全する

調査の根拠となるログやファイル、スナップショットを正しい手順で保全します。不正な変更を加えず、証拠性を保つための保存形式とログの取得順序に注意します。

証拠データ保全の基本手順

  1. IaaS環境では該当インスタンスのスナップショットを即時取得
  2. 操作ログ、監査ログ(CloudTrail、Azure Monitorなど)をエクスポート
  3. ログの改ざんを防ぐため、書き込み不可なストレージに保存

③調査専用の解析環境を構築する

保全したデータを分析するため、隔離された解析用クラウドインスタンスを立ち上げ、そこに証拠データを取り込みます。誤操作や二次被害を防ぐため、通常の運用環境とは分離して行います。

解析環境構築の手順

  1. 別アカウントまたはサンドボックス環境で新規クラウドインスタンスを作成
  2. 保全済みスナップショットやログファイルをアタッチまたは転送
  3. 調査用ツール(例:Volatility、LogParser)をインストール

④ログ・操作履歴を精査し不正の有無を確認する

APIログやユーザーの操作履歴をもとに、どのような不正アクセスや設定変更が行われたかを調査します。痕跡の消去やファイルの暗号化が行われていた場合は、復旧・復号作業も実施します。

ログ調査と復旧作業の手順

  1. API GatewayやCloudTrailなどのログを時系列で並べて分析
  2. 不審なアクティビティ(例:大量のファイルDL、異常なIPログイン)を特定
  3. 削除・暗号化されたファイルについて、スナップショットや復旧ツールを使用して復元

⑤専門会社に相談し、調査・報告を依頼する

クラウド特有のログ解析や法的証拠性の担保には専門知識が不可欠です。インシデントの深刻度に応じて、デジタルフォレンジックの専門会社に相談することで、正確かつ迅速な解決が期待できます。

専門会社への依頼の流れ

  1. クラウドインシデントの概要と保全データの種類を整理する
  2. 実績のあるフォレンジック調査会社へ連絡し、無料相談を依頼
  3. 調査範囲・証拠性の担保方法・報告書の用途(社内/法的提出など)を共有し、見積・依頼

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 調査実績が豊富
  • セキュリティ認証を取得している
  • 調査完了までのスピードが速い
  • 無料相談や見積りに対応している

これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。

調査実績が豊富

調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。

セキュリティ認証を取得している

セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。

具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。

こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。

調査完了までのスピードが速い

問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。

無料相談や見積りに対応している

問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。

無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。

>>【2024.11最新】フォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説

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デジタルデータフォレンジック

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社を利用するときの注意点は次のとおりです。

  • 不用意に操作しない
  • 興信所や探偵は基本的に専門外
  • サポート詐欺に要注意
  • 市販の調査ソフトを使用しない

不用意に操作しない

サイバーやリーガルインシデント被害を受けた場合、不用意にシステムや機器を操作すると、証拠が消失したり、状況が悪化したりする可能性があります。そのため、フォレンジック調査会社に依頼する前に、不用意な操作は避けましょう。

興信所や探偵は基本的に専門外

フォレンジック調査は、専門的な知識や技術が必要となる調査です。そのため、主に浮気調査や家出人捜索などの調査を行っている興信所や探偵に依頼しても、十分な調査が期待できない可能性があります。

市販の調査ソフトを使用しない

市販のフォレンジック調査ソフトは多数存在しますが、そのどれもが万能なものではなく、フォレンジック調査サービスと比較して調査の正確性が劣ります。セキュリティ対策やログの監視ツールとして利用する分には問題ないですが、インシデント発生時の調査で利用する時は目的に合わせて利用すべきか判断が必要になります。

調査結果を報告資料の作成や裁判などでの証拠として活用したい場合は、フォレンジック調査ツールで抽出した結果を使用できないため、証拠保全が可能な調査会社に相談して調査するようにしましょう。

まとめ

クラウド環境でのインシデントは、放置すると取り返しのつかない事態に発展することもあります。原因がはっきりしない、どう対応していいか分からない…そんなときは、ひとりで悩まず、まずは専門のフォレンジック調査会社に相談してみてください。

早めの対応が、被害の拡大を防ぎ、大切な情報と信頼を守る第一歩になります。

デジタルデータフォレンジック

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