フォレンジック調査における証拠保全の方法とは?正しい手順と注意点を専門家が解説

企業の情報漏洩や社内不正が疑われたとき、最も重要になるのが「証拠保全」です。証拠がなければ調査も立証も不可能になり、加害者の特定や損害回復が難しくなります。この記事では、証拠の改ざんや消失を防ぐために必要な保全手順を、フォレンジック調査の専門家の視点から詳しく解説します。

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フォレンジック調査における証拠保全とは

将来的な法的紛争や社内処分、損害賠償請求などに備え、デジタルデータを「証拠として通用する状態」で保存する一連の手続きが、フォレンジック調査における証拠保全です。単なるバックアップやコピーとは本質的に異なり、取得方法や管理過程、真正性を証明できるかどうかまで含めて設計する必要があります。

企業活動におけるトラブルでは、事実があったかどうかだけでなく、「それを客観的に証明できるかどうか」が最終的な争点になります。デジタルデータは改変が比較的容易であるため、裁判や交渉の場では取得手順の妥当性や改ざん防止措置の有無が厳格に確認されます。適切な手続きを経ていないデータは、証拠能力を否定される可能性もあります。

特に重要となる観点は、次のとおりです。

  • 元データに変更が加えられていないことを証明できること
  • 取得から保管までの過程を説明可能であること
  • 第三者が検証可能な形式で保存されていること

例えば、社内のIT担当者が通常業務の延長でログを確認・保存した場合、意図せずタイムスタンプを更新してしまったり、取得過程の記録が残っていなかったりすることがあります。こうした小さな不備が、後に証拠全体の信用性に影響を及ぼすこともあります。

フォレンジック調査における証拠保全は、単なる技術作業ではなく、法的妥当性を前提とした統制プロセスです。この視点を欠いた対応は、企業にとって大きなリスクとなり得ます。

フォレンジック調査における証拠性とは|正しい取得手順と法的に有効な保全方法を解説>

証拠保全が必要になる代表的なケース

企業において証拠保全が求められる場面は、突発的でありながら経営判断に直結するものが少なくありません。初動対応の適否が、その後の責任追及や損害回収の可否を左右することもあります。

代表的なケースとしては、次のような事案が挙げられます。

  • 内部不正(横領、情報持ち出し、営業秘密の不正利用)
  • 情報漏洩(個人情報・機密情報の流出)
  • 不正アクセスやマルウェア感染
  • 退職者によるデータ持ち出しや競業行為

特に内部不正のケースでは、懲戒処分や解雇の有効性が争点となる場合があります。証拠保全が不十分であれば、不当解雇と判断されるリスクも否定できません。ログや通信履歴などのデータが適切な手順で保存されていなければ、企業側の主張が十分に認められない可能性があります。

情報漏洩や不正アクセス事案では、原因究明と被害範囲の特定が急務となります。しかし、サーバーログやクラウドのアクセス履歴は日々更新されるため、対応が遅れるほど復元が難しくなります。また、通常の復旧作業が証拠を上書きしてしまうケースもあります。

退職者トラブルなどにおいても、USB接続履歴やメール送信記録などを客観的に保存できなければ、損害賠償請求の立証が難航することがあります。

フォレンジック調査における証拠保全方法

ここでは、証拠保全において基本となる具体的な対処法を紹介します。調査対象のデータ改ざんを防ぎ、証拠としての信頼性を担保するためには、以下の手順を確実に実施する必要があります。

  1. オリジナルデータの変更を防止する
  2. 書き込み防止装置を使用する
  3. ミラーイメージを作成する
  4. ハッシュ値で同一性を検証する
  5. 保全作業の記録を残す
  6. 証拠ファイルの直接閲覧・編集を避ける
  7. フォレンジック専用ツールで取得・保存する
  8. 専門業者に相談・依頼する

①オリジナルデータの変更を防止する

調査対象となるパソコンや記憶媒体に対し、直接的な操作や書き込みを行わないことが最重要です。ネットワークから切り離して外部からのアクセスを遮断し、データの上書きや消去を防止する対応が求められます。

オリジナルデータの変更を防止する手順

  1. 調査対象機器の電源を切る(強制シャットダウンは避ける)。
  2. ネットワークケーブルやWi-Fi接続を遮断する。
  3. 必要に応じて、対象機器の取り扱い担当者の操作ログなどを確保する。

②書き込み防止装置を使用する

物理的なストレージ媒体からデータを取得する際、書き込み防止(Write Blocker)機器を使用することで、データの改変リスクをゼロに抑えます。

書き込み防止装置を使用する手順

  1. 調査対象メディア(HDD/SSDなど)を取り外す。
  2. 専用のWrite Blocker機器に接続する。
  3. フォレンジックツールを通じて読み取り操作を行う。

③ミラーイメージを作成する

証拠データを直接扱うのではなく、同一内容の複製イメージを作成し、解析作業はこの複製データで行うことが基本です。

ミラーイメージを作成する手順

  1. 書き込み防止装置を介して原本メディアに接続。
  2. イメージ取得ツール(例:FTK Imager、dd)を使用して完全複製を取得。
  3. 取得したイメージを検証用ストレージに保存。

④ハッシュ値で同一性を検証する

データが改変されていないことを証明するために、原本と複製それぞれからハッシュ値を取得し、一致するか確認する必要があります。

ハッシュ値を取得・検証する手順

  1. 原本メディアに対しMD5やSHA-256のハッシュ値を算出。
  2. 複製したイメージからも同様のハッシュ値を取得。
  3. 双方のハッシュ値が一致することを確認・記録。

⑤保全作業の記録を残す

証拠能力を維持するため、作業者・使用機器・作業日時・環境など、すべての保全過程を詳細に記録し、必要に応じて写真や動画で証拠を補強します。

保全作業を記録する手順

  1. 作業開始前に日時と環境を記録。
  2. 操作ごとに撮影・操作ログを記録。
  3. 保全報告書として書面化し、証拠保全チェーンとして保管。

⑥証拠ファイルの直接閲覧・編集を避ける

証拠データを直接開いたり内容を表示させたりすると、タイムスタンプの更新や属性変更が起こる恐れがあります。調査前の証拠ファイルは直接操作しないのが原則です。

ファイルの直接操作を避ける手順

  1. 取得済みの複製データを対象とする。
  2. ファイルのタイムスタンプやメタデータを抽出専用ツールで確認。
  3. 確認のみで、ファイル自体を開かないよう注意。

⑦フォレンジック専用ツールで取得・保存する

正確なデータ保全のためには、一般的なツールではなくフォレンジック専用ツール(例:X-Ways、EnCase)を使用して取得・保存を行う必要があります。

専用ツールで取得・保存する手順

  1. 対象環境に応じて専用ツールを選定。
  2. 調査対象メディアやクラウド環境にアクセス。
  3. 操作ログやスナップショットを保全対象とし、証拠として保存。

⑧専門会社に相談・依頼する

ここまで解説した①〜⑦の工程は、いずれも高度な専門知識と専用機材を前提とする作業です。理論として理解することと、証拠能力を担保した形で正確に実行することは、まったく別の課題といえます。

特に、書き込み防止環境の構築、完全なイメージ取得、ハッシュ値の適切な算出・検証、保全記録の体系的な管理などは、いずれか一つでも不備があれば、後に証拠全体の信用性が問われる可能性があります。企業トラブルにおいては「取得した」という事実以上に、「適切な手続きで取得したことを説明できるかどうか」が重要になります。

自社での対応を検討する場合には、少なくとも次の点を冷静に確認する必要があります。

  • フォレンジック専用機材や検証環境を常備しているか
  • 作業過程を法的観点から説明できる人材がいるか
  • 証拠管理体制(チェーンオブカストディ)を社内で運用できるか

これらを即時に満たせない場合、初動対応の段階でリスクを抱えることになります。特に内部不正や情報漏洩、不正アクセスといった重大インシデントでは、対応の遅れや手続き上の不備が、そのまま企業の法的立場や損害回収の可能性に影響することもあります。

そのため、判断に迷う段階こそ、専門的知見を有するフォレンジック調査会社へ相談することが合理的な選択といえます。専門会社であれば、専用機材による証拠取得、真正性の検証、保全記録の体系的な管理までを一貫して実施できるため、後の交渉や訴訟にも耐え得る証拠基盤を整えることが可能です。

重要なのは、「自社で対応できるかどうか」ではなく、将来にわたり説明責任を果たせる状態を確保できるかどうかです。

初動対応はやり直しがききません。確信を持てないまま作業を進めるよりも、早期に専門家の意見を確認することが、結果として企業リスクの最小化につながります。

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶ重要ポイント4選

信頼できるフォレンジック調査会社を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 調査実績が豊富
  • セキュリティ認証を取得している
  • 調査完了までのスピードが速い
  • 無料相談や見積りに対応している

これらの特徴を持つ調査会社に依頼することで、効果的な調査と適切な対策が期待できます。

>>おすすめのフォレンジック調査会社一覧|選び方・依頼の流れを解説

調査実績が豊富

調査実績が豊富な調査会社は、さまざまな種類のサイバーやリーガルインシデントに対応した経験とノウハウを持っています。そのため、状況や問題に応じた適切な方法やツールを駆使し、被害の状況や原因をより正確に特定することで、適切な対策を講じることができます。

セキュリティ認証を取得している

セキュリティ認証を取得している企業は、情報セキュリティに対する取り組みが評価されており、信頼性が高いです。

具体例として、ISO/IEC 27001などの国際的な認証が挙げられます。これらの認証は、企業が情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を適切に運用し、機密情報の保護に努めていることを示します。

こうした認証を取得している企業は、データ漏えいリスクを最小限に抑えるための対策を講じており、顧客のデータを安全に扱うことができます。このため、セキュリティ認証を取得している企業を利用することがおすすめです。

調査完了までのスピードが速い

問題が発生した際、調査完了までのスピードが速いほど、被害を最小限に抑えることができます。調査スピードが速い理由としては、専門知識や経験を持ったスタッフが多数在籍していることや、最新の技術やシステムを導入して効率的な業務を行っていることが挙げられます。

無料相談や見積りに対応している

問題が発生した際、無料相談や見積りに対応している企業であれば、相談のうえ、見積りを取得することで、サービスの費用を事前に把握し、予算に合ったプランを選ぶことができます。

無料相談や見積りに対応している企業は、顧客ニーズに応じたサービスを提供できる体制が整えられており、信頼性が高いと言えます。ぜひ、お問い合わせや見積りの依頼を通じて、最適なサービスを見つけてください。

編集部おすすめ調査会社:デジタルデータフォレンジック(おすすめ度)

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フォレンジック調査会社を利用するときの注意点

フォレンジック調査会社へ依頼する場合であっても、初動対応や判断を誤れば、証拠価値を損なう可能性があります。依頼前後において注意すべき代表的なポイントは次のとおりです。

  • 社内IT部門のみで対応を進めない
  • 市販のソフトで独自に解析しない
  • 証拠データを上書き・改変しない
  • 興信所や探偵業者は基本的に専門外である

社内IT部門のみで対応を進めない

インシデント発生時、まず社内IT部門が状況確認を行うのは自然な対応です。しかし、通常の障害対応や復旧作業と、証拠保全を前提としたフォレンジック対応は目的が異なります。

例えば、原因調査のためにログを確認する、端末を再起動する、バックアップを取得するといった行為が、結果としてタイムスタンプの変更やデータの上書きを招くことがあります。フォレンジックでは「復旧」よりも「原状維持」が優先されます。

社内対応を行う場合でも、将来的な法的説明責任まで見据えた判断が必要です。

市販のソフトで独自に解析しない

市販のフォレンジック関連ソフトやログ解析ツールは多数存在しますが、それらは必ずしも証拠能力の担保を前提として設計されているわけではありません。

解析結果が得られたとしても、取得環境や操作手順、真正性検証の記録が整っていなければ、法的な場面で証拠として十分に評価されない可能性があります。

特に重大なインシデントでは、単なる「解析結果」ではなく、「適切な手続きに基づく証拠」であることが求められます。独自の解析は慎重に検討すべきです。

証拠データを上書き・改変しない

最も避けるべきなのは、証拠となり得るデータに直接変更を加えてしまうことです。ファイルを開くだけでメタデータが更新される場合があり、意図せず証拠状態が変化することがあります。

また、ウイルス駆除やシステム更新などの通常業務が証拠を上書きしてしまうケースもあります。一度改変が生じた場合、完全な原状復元は困難です。

インシデント発覚直後は、「確認したい」という心理が働きますが、まずは現状維持を優先する姿勢が重要です。

興信所や探偵業者は基本的に専門外である

フォレンジック調査は、デジタルデータの解析や証拠保全を専門とする高度な技術分野です。浮気調査や所在調査などを主業務とする興信所・探偵業とは、専門領域が大きく異なります。

もちろん一部にはデジタル対応を行う事業者もありますが、証拠保全の手続きや法的証拠力の担保まで対応できる体制を備えているかは慎重に確認する必要があります。

依頼先を選定する際は、デジタルフォレンジックの実績、使用機材、報告書の形式、法的活用の経験などを確認することが重要です。専門分野に適した事業者へ依頼することが、結果として企業リスクの低減につながります。

まとめ

フォレンジック調査における証拠保全は、企業の法的責任や信用に直結する重要な工程です。初動対応を誤れば、事実があっても十分に立証できない可能性があります。

本記事で解説したとおり、オリジナルデータの保護、イメージ取得、ハッシュ検証、保全記録の管理などは高度な専門性を要します。いずれかに不備があれば、証拠全体の信用性が問われることもあります。

特に内部不正や情報漏洩などの重大インシデントでは、「対応できるか」ではなく「将来にわたり説明責任を果たせるか」が判断基準となります。判断に迷う場合は、早期に専門家へ相談することが企業リスクの最小化につながります。

デジタル証拠はやり直しがききません。慎重な初動対応が重要です。

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